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位置情報データを活用したマーケティングKPIの設定と最適化

位置情報データを活用したマーケティングKPIの設定と最適化

スマートフォンの普及により、位置情報データを活用したマーケティングが注目されています。特に、ジオターゲティング広告は、特定の場所にいるユーザーに対して効果的なアプローチを可能にします。しかし、これらの施策の効果を正確に測定し、最適化するためには、適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。

KPIとは?マーケティングにおける役割も徹底解説

KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、目標達成の進捗を測るための定量的な指標のことです。たとえば、最終目標が「店舗売上の向上」である場合、その目標に至るまでの中間指標として「広告クリック数」「来店者数」「新規顧客獲得率」などがKPIとして設定されます。

マーケティングにおいてKPIは単なる数値ではなく、「どの施策が効果的だったか」「どこを改善すべきか」という意思決定の材料となる重要な要素です。施策のPDCA(計画・実行・評価・改善)を正しく回すためには、的確なKPIの設定が不可欠です。

KPIの良し悪しが施策全体の成否を左右するため、以下のような視点で選定する必要があります。

  • 定量的に測定できるか?
  • 目標(ゴール)との因果関係があるか?
  • 現場でのアクションにつながるか?

たとえば、SNSのフォロワー数をKPIに設定しても、それが売上や来店につながっていないなら、本当の意味での「成果指標」とは言えません。常に「目的と手段の整合性」を確認しながら設定することが大切です。

位置情報マーケティングにおけるKPIの3つの特性

位置情報を活用したマーケティング(例:ジオターゲティング広告)では、一般的なWeb広告とは異なる視点のKPI設定が求められます。その主な理由は、施策の多くがオフライン行動(来店など)を促すことを目的としているからです。

特性1. 直接コンバージョンよりも“行動誘導”が主目的

従来のオンライン広告では「クリック→購入」など直接的なコンバージョン(CV)をKPIに据えるのが一般的ですが、位置情報施策では「特定エリアにいたユーザーに広告を配信 → 実店舗に足を運んでもらう」といった行動の変化を追うことになります。

そのためKPIも、以下のような行動指標ベースが中心となります。

  • 広告閲覧数(Impression)
  • 広告クリック率(CTR)
  • 来店計測数(Location Visit Count)
  • ユーザーの滞在時間や頻度
  • 店舗周辺通行数と比較した来店率(Lift指標)

特性2. オンライン/オフラインの橋渡し

位置情報マーケティングは「オンライン広告」から「オフライン行動」への橋渡しという特殊な構造を持ちます。そのため、広告効果の測定はWebだけでは完結せず、位置情報プラットフォームや外部パートナーによるデータ連携が必要になることもあります。

例)Treasure DataやLoglass、ジオロケーション広告事業者との連携による来店データの取得など。

特性3. 数値の“絶対性”よりも“相対変化”が重視される

GPSなどの位置情報にはある程度の誤差が生じるため、来店数などの指標は100%正確ではないケースもあります。そこで重要なのが、「前回のキャンペーンと比べて来店数が何%増加したか」「曜日ごと・天候ごとに数値がどう変動したか」といった相対変化の追跡です。

精度だけに頼るのではなく、継続的な比較分析や他データとの掛け合わせ(例えばPOSデータとの連携)を通じて、より解像度の高いインサイトを導き出すことが求められます。

位置情報データを活用したマーケティングの特徴

まずはじめに、位置情報データを活用することで、実際にどのような効果が得られるのかを解説していきます。

行動履歴に基づいたパーソナライズ

位置情報データを分析することで、ユーザーの「過去の行動履歴」や「移動パターン」が可視化されます。これにより、単に“今どこにいるか”という情報だけでなく、“どこに頻繁に行くか”や“どの時間帯に活動しているか”といった深い洞察が得られます。たとえば、あるユーザーが毎週末にショッピングモールに訪れていることが分かれば、週末にそのユーザーへモール内のセール情報を配信することで、高い確率で興味を引くことができます。

オンラインとオフラインをつなぐO2Oマーケティング

位置情報を活用すれば、オンライン広告の効果がオフライン行動(来店・購買)にどう結びついているかを把握できます。これにより、「Web広告を見たユーザーが実際に店舗に訪れたのか」「訪れた人の滞在時間はどれくらいか」などを分析でき、オンラインとオフラインの統合的な施策(O2O:Online to Offline)に取り組むことができます。これは、従来のデジタルマーケティングでは見落とされがちだった“リアルでの成果”を測るうえで非常に価値の高い手法です。

地域ごとのマーケティング最適化(エリアマーケティング)

地域ごとの購買傾向や人口動態、ライフスタイルの違いを加味したエリアマーケティングにも、位置情報データは大きく貢献します。例えば、ある地域では週末に人通りが集中し、別の地域では平日の昼間がピークタイムといった傾向をつかめば、それぞれのエリアに最適な広告配信タイミングやコンテンツを設定することが可能です。地域密着型ビジネスや多店舗展開企業にとって、非常に有効な戦略と言えるでしょう。

リアルタイムマーケティングの実現

位置情報は「リアルタイム性」がある点も大きな魅力です。たとえば、特定エリアにユーザーが立ち入ったタイミングで自動的にクーポンを送る「ジオフェンシング」など、今この瞬間の行動に応じたアクションを即座に促す施策が可能です。タイミングの良い情報提供は、ユーザー体験を向上させるだけでなく、行動喚起につながりやすいのも特徴です。

マーケティングKPIの設定における注意点

マーケティングKPIを設定する際には注意しなくてはいけない点もあります。ここで紹介する2つの内容にはとくに注意しながら設定することをおすすめします。

注意点1. 位置情報データの精度と限界

位置情報データはGPSやWi-Fi、基地局情報などを基に取得されますが、これらのデータには一定の誤差が存在します。例えば、建物内や地下ではGPSの精度が低下し、正確な位置を特定できない場合があります。そのため、位置情報を基にした来店計測の数値は、あくまで参考値として捉える必要があります。

注意点2. 適切なKPIの設定

ジオターゲティング広告の主な目的は「認知度の向上」であり、直接的な購買や申し込みをKPIとするのは適切ではありません。例えば、以下のような指標が考えられます。

  • 広告の表示回数
  • クリック率
  • 来店者数(位置情報データを活用)

これらの指標を用いることで、広告の効果を適切に評価し、次の施策に活かすことができます。

位置情報データ活用の成功事例

位置情報データを活用したマーケティング施策の成功事例として、以下のようなケースが挙げられます。

成功事例1. 競合店舗訪問者へのアプローチ

ある企業では、競合他社の店舗を訪れたユーザーに対して、自社のプロモーションを行う広告を配信しました。これにより、競合他社の顧客を自社に引き寄せることに成功しました。

成功事例2. イベント来場者の分析とターゲティング

イベント主催者が来場者の位置情報データを分析し、来場者の居住地域や行動パターンを把握することで、次回のイベントのプロモーション戦略を最適化しました。

位置情報分析ツールDatawise Area Marketerのご紹介と活用事例


「位置情報マーケティングをこれから始めたい」「現状の位置情報マーケティングがなかなか機能していない」など、この記事に訪れた方の中にも様々な悩みがあるかと思います。そこで弊社の開発・販売する位置情報マーケティングツール「Datawise Area Marketer」をご紹介させていただきます!

Datawise Area Marketerは、ドコモのビッグデータをもとに、任意の施設への来訪者のユーザー属性を「性別」「年代」などはもちろん「年収」「世帯構成」など、細かく情報を取得することが可能です。そうした属性の他にも「出店候補エリアの需要」「ターゲットが集まる場所と時間」「出店候補物件付近の交通量」「去年と比較した来訪者数やその属性の変化」「近くにある競合店の来客数やその属性」といったさまざまな情報を直感的な操作で分析することが可能です。これまでの人流データ解析ツールは操作に専門的な知識や労力を要しましたが、マーケティングを行う上で必要となる情報の多くを、簡単な操作で取得することが出来るので実際に様々な場面でご活用いただいています。

また近年のインバウンド(訪日外国人)需要に合わせて開発されたDatawise Area Marketerインバウンド版ではNAVITIMEと提携をし、訪日外国人の位置情報を分析しています。製品に関する詳しい情報は関連記事にてご紹介していますので、合わせてご確認ください!

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Datawise Area Marketerとは|ドコモのビッグデータを利用した人流分析ツール

位置情報マーケティングを使った事例をご紹介

最後に位置情報マーケティングとして、弊社のDatawise Area Marketerを実際に導入いただき、ご活用していただいてる皆様の声をご紹介します!利用するに至った経緯や、導入してみてどのような成果が得られたのかなど、参考にしていただけると思いますので是非ご覧ください!
ここではDatawise Area Marketerを実際に導入いただき、ご活用していただいてる皆様の声をご紹介します。

  1. 株式会社プロントコーポレーション
  2. 大和リース株式会社
  3. 岸和田市
  4. 三井住友海上火災保険株式会社
  5. 徳島市
  6. 愛知県警察
  7. 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー
  8. ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社
  9. NTT都市開発株式会社×NTTアーバンバリューサポート×NTTアーバンソリューションズ総合研究所
  10. タリーズコーヒージャパン株式会社

※順不同

これから導入を検討されている企業・自治体の担当者の皆様の参考になればと思います!

活用事例1. 株式会社プロントコーポレーション(流通・小売業)

コロナ禍による来客減少を受けてリブランディングに乗り出したプロント。その施策による効果の検証しより細かな属性情報を得るために弊社の人流ビッグデータを導入して頂きました。

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活用事例2. 大和リース株式会社(不動産業)

公園整備事業を公民連携の上で行うPark-PFIに参画。 公園利用者の動きを紐解くツールとして、他社製品も比較の上で弊社の人流データツールをご活用いただいております。

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施設運営やリース事業からPPP、Park-PFIまで

活用事例3. 岸和田市(自治体)

スマートモビリティの課題に対して人流ビッグデータを活用されている岸和田市は、話題のOSPF(大阪スマートシティパートナーズフォーラム)に参画。 隣接する地域から岸和田市に経済を呼び込み、広域連携を目指しています。

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活用事例4. 三井住友海上火災保険株式会社(保険・金融業)

BtoBtoC ビジネスモデルで、三方良しのマーケティング。 「すぐ使える人流ビッグデータ」の導入で、顧客体験価値のさらなる向上を目指しています。

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活用事例5. 徳島市(自治体)

人口25万人の県都・徳島市では、有名な「阿波おどり」をはじめとする催事の人流データの分析、そしてそれを活用した中心市街地の活性化を目的として、Datawise Area Marketer をご活用いただいています。

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データに基づく市政で街を活性化させる

活用事例6. 愛知県警察(自治体)

愛知県警察では、従来から独自の交通事故分析システムを活用し交通事故抑止対策を推進しています。人や車の交通量を地図上に可視化する為に Datawise Area Marketer をご導入頂き、過去の交通事故発生状況とクロス分析、より具体的な危険箇所等を割り出すことで、効果的な交通事故抑止対策を図っています。

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活用事例7. 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー(自治体)

産官学連携で横浜市の観光事業を担う。 様々な視点でのマーケティングを直感的に行えるツールとして、 Datawise Area Marketer をご活用いただいております。

活用事例8. 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー(自治体)

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活用事例8. ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(流通・小売業)

マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東、スーパーマーケット3ブランドを展開。 新店開発における課題に対し、積極的に人流分析ツールを活用することで解決を図りました。

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活用事例9. NTT都市開発株式会社×NTTアーバンバリューサポート×NTTアーバンソリューションズ総合研究所(不動産業)

2023年3月、旧広島市民球場跡地イベント広場 は「ひろしまゲートパーク」に生まれ変わりました。 行政と連携しながらまちづくりをする取組に、Datawise Area Marketer をご活用いただきました。

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確かな根拠×柔軟な分析で広げるまちづくり

活用事例10. タリーズコーヒージャパン株式会社(小売・飲食業)

全国各地に780を超える店舗を展開し、年間で40件の新規出店を目指す。 コロナ禍の数ある逆境を乗り越え、人流分析ツールでの分析を、新規出店の必須手段としてご利用いただいています。

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※事例は随時更新させていただきます。

導入事例一覧はこちら

まとめ

位置情報データを活用したマーケティングは、高精度なターゲティングや来店計測など、多くのメリットを提供します。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、位置情報データの特性を理解し、適切なKPIを設定することが重要です。また、プライバシーへの配慮を忘れず、ユーザーとの信頼関係を築くことが、持続可能なマーケティング活動の鍵となります。

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