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人流データの取得方法は?基礎知識や上手に活用する方法などを徹底解説!

近年、データ分析の重要性が高まる中で、「人流データ」がさまざまな分野で活用されています。人流データとは、特定のエリアにおける人の移動や滞在状況を示すデータのこと。小売業、都市開発、観光、自治体など、多くの業界で意思決定の材料として利用されています。
しかしながら人流データがあまり身近ではない方にとっては「そのデータは本当に信頼できるものなのか」「どのように取得しているのか」など、疑問も出てくるでしょう。そこで本記事では、人流データがどのように取得されるのか、また、どのように活用すればビジネスや社会課題の解決につなげられるのか、人流データの基本的な取得方法から、具体的な活用事例までをわかりやすく解説します。
人流データとは?わかりやすく解説
人流データとは、特定のエリアにおける人の移動や滞在状況を示すデータのことです。わかりやすく言えば「人がどのような経路でその場所に訪れ、どのくらい滞在し、次にどこへ向かうのか」などを可視化できるものとなります。
このデータを分析することで、「どこに」「どのくらいの人が」「いつ集まるのか」といった動向を把握できます。小売業では店舗の出店戦略に、観光業では訪問者の動向分析に、都市計画では混雑緩和や防災対策に活用されるなど、幅広い分野で役立っています。適切に活用すれば、より快適で効率的なサービスや環境を提供できる重要なデータとなります。
さらに詳しく理解したい場合は、下記の関連記事をご覧ください。
人流データ普及の背景と発展の経緯
人流データが一般的に活用され始めた背景には、技術の進歩と社会の変化が大きく関係しています。
もともと、人の流れを把握する手段としては、交通量調査やアンケートなどのアナログなものが主流でした。しかし、スマートフォンやIoTデバイスの普及により、GPSやWi-Fi、モバイル通信データなどを活用したリアルタイムの人流データが取得できるようになりました。特に、2010年代以降のビッグデータ技術の発展により、大量のデータを効率的に収集・分析できるようになったことが、活用の加速につながりました。
さらに、2019年からの新型コロナウイルスの流行を契機に、人流データの重要性が一気に高まりました。感染拡大の防止策として、政府や企業が人の移動を可視化し、混雑状況の把握や行動制限の指標として活用するようになったのです。これにより、人流データは社会的なインフラの一部として広く認知されるようになりました。
現在では、小売業、観光業、都市開発、防災、マーケティングなど、さまざまな分野での活用が進み、より高度な分析や予測が可能になっています。
人流データの取得方法は?現在の主流はスマートフォンなどのGPS!
人流データを取得するのには、いくつかの方法が存在します。
- 携帯電話基地局
- スマートフォンのGPS(人工衛星)
- Wi-Fi
- ビーコン(Bluetooth Low Energy)
- 街頭カメラなど
今回は弊社の提供する位置情報分析ツールDatawise Area Marketerにも関連する「GPS」について簡単に解説していきます!
人流データをスマートフォンのGPSから取得
昨今ほとんどの人が肌身離さず手にするスマートフォン。昨今の人流データはそんな、スマートフォンの位置情報ビッグデータを解析したものが主流となります。弊社が提供するDatawise Area Marketerでは、国内シェアNo.1のdocomo(ドコモ)の位置情報データを解析し、人流データを作成しています。
また、昨今の訪日外国人需要に合わせて開発したDatawise Area Marketerインバウンド版ではNAVITIMEと提携をし、データの収集から分析までを行なっております。
人流データの活用方法は?各業界ごとに解説
続いては、人流データが活用されている以下のシーンについてご紹介していきます。
- 小売・飲食業
- 商業施設・テーマパーク
- 広告・プロモーション
- 交通機関
- 観光・街づくり・防災
これらは形態こそ異なるものの、人々の動きと密接しているという大きな共通点があります。
人々の動き=「人流」をデータ化し可視化することで企業やデベロッパー、自治体はどのように利活用しているのでしょうか。早速詳しい内容を見ていきましょう。
シーン1:小売・飲食業
小売・飲食業をスタートさせる段階で最初に重要になってくるのが「出店戦略」ですが、人流データを活用することにより、従来までは多大な時間と労力を要した実地調査や出店候補地の選定を効率的に進めることが可能になります。
また、オープン後の在庫・発注管理に関しても、過去の人流データから販売数予測や人流予測を行いコントロールすることが可能です。数時間先や数日先の需要、周辺地域でのイベントに伴う突発的な需要なども予測することができるので、フードロスなどといった「無駄」の削減にも効果があります。
さらに、来店頻度や滞在時間、店内での動線、他店舗との回遊記録の客観的分析を行うことで、ニーズの変化や見込み客数、最適な売り場レイアウトが把握でき、経営が思わしくない店舗のリブランディングに活用するといった事例もあります。
シーン2:商業施設・テーマパーク
ショッピングモールやデパートといった商業施設では来訪者の属性、来店時間、回遊時間、周遊ルートなどを可視化できることで、様々な場面に活用できます。例えば「催事・イベント目的で来訪する層」の属性や周遊ルートを把握し、それをテナント等に情報共有することで、ニーズをしっかりと把握し、イベントをきっかけに施設内の店舗にも購買意識を持ってもらうといった戦略を考えることも可能です。
テーマパークでも同じように様々な場面で役立ちますが、具体例を挙げるとすれば、来訪者の商圏分析を行うことで今後の広告戦略に活かすことができます。また、交通に関する調査などを行うことで混雑する時間帯などを把握し、対策することで、ストレス緩和や機会損失を避ける効果を生むことも考えられますし、無駄のない人員の割り振りにも効果的です。
シーン3:広告・プロモーション
人流データは広告展開やあらゆるプロモーションを行う上でも重要な働きをします。例えば屋外広告を展開する場合には、ペルソナに沿ったターゲットが多く滞在する場所や時間帯を割り出すことも可能ですし、ポスティングなどの場合には地域の選定を行う上で商圏分析などが非常に役立ちます。
それだけでなく、実際に施策を行なった後で、どのような効果を得られたのか、また更なる改善点があるかなどを可視化できる点も人流データは効果を発揮します。
シーン4:交通機関
駅、バス乗り場、空港、一般道、高速道路といった様々な交通機関で人流データの活用が増えてきています。
曜日、時間帯、気候などによる交通機関の混雑状況や動線を可視化し、交通機関の需要予測、運行ダイヤの改善や効率化、渋滞緩和はもちろん交通事故の防止にも活用されています。
交通機関シーンで特に重要になるのが、リアルタイムでの情報収集になります。人流データはデータ取得からデータ活用までのタイムラグが非常に少ないという特徴があり、常に最新の情報を確認、発信できるという大きな利点があります。
シーン5:観光・街づくり・防災
以前から注目はされていましたが、コロナ禍以降、人流データを導入する自治体もさらに増加傾向にあります。
観光地では、ここ数年人の動きに大きな変化がありました。そうした状況をしっかりと分析し、今後の施策に活かしているケースが多く見られます。
街づくりにおいても公園や道路など様々な場面で活用されていますが、近年よく耳にするようになった「スマートシティ」のプランニングなどでも非常に活用されています。人の動きを分析し、どうしたらより住みやすい街になるのかというテーマには人流データは非常に相性が良いです。
また各自治体が作っているハザードマップの作成時に人流データを活用している事例も多いです。
人流データの活用事例をご紹介
最後に弊社の人流データ分析ツールDatawise Area Marketerを実際に導入いただき、ご活用していただいてる皆様の声をご紹介します。
- 株式会社プロントコーポレーション
- 大和リース株式会社
- 岸和田市
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 徳島市
- 愛知県警察
- 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー
- ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社
- NTT都市開発株式会社×NTTアーバンバリューサポート×NTTアーバンソリューションズ総合研究所
- タリーズコーヒージャパン株式会社
※順不同
これから導入を検討されている企業・自治体の担当者の皆様の参考になればと思います!
活用事例1. 株式会社プロントコーポレーション(流通・小売業)
コロナ禍による来客減少を受けてリブランディングに乗り出したプロント。その施策による効果の検証しより細かな属性情報を得るために弊社の人流ビッグデータを導入して頂きました。
活用事例2. 大和リース株式会社(不動産業)
公園整備事業を公民連携の上で行うPark-PFIに参画。 公園利用者の動きを紐解くツールとして、他社製品も比較の上で弊社の人流データツールをご活用いただいております。
活用事例3. 岸和田市(自治体)
スマートモビリティの課題に対して人流ビッグデータを活用されている岸和田市は、話題のOSPF(大阪スマートシティパートナーズフォーラム)に参画。 隣接する地域から岸和田市に経済を呼び込み、広域連携を目指しています。
活用事例4. 三井住友海上火災保険株式会社(保険・金融業)
BtoBtoC ビジネスモデルで、三方良しのマーケティング。 「すぐ使える人流ビッグデータ」の導入で、顧客体験価値のさらなる向上を目指しています。
活用事例5. 徳島市(自治体)
人口25万人の県都・徳島市では、有名な「阿波おどり」をはじめとする催事の人流データの分析、そしてそれを活用した中心市街地の活性化を目的として、Datawise Area Marketer をご活用いただいています。
活用事例6. 愛知県警察(自治体)
愛知県警察では、従来から独自の交通事故分析システムを活用し交通事故抑止対策を推進しています。人や車の交通量を地図上に可視化する為に Datawise Area Marketer をご導入頂き、過去の交通事故発生状況とクロス分析、より具体的な危険箇所等を割り出すことで、効果的な交通事故抑止対策を図っています。
活用事例7. 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー(自治体)
産官学連携で横浜市の観光事業を担う。 様々な視点でのマーケティングを直感的に行えるツールとして、 Datawise Area Marketer をご活用いただいております。
活用事例8. 公益財団法人横浜観光コンベンション・ビューロー(自治体)
活用事例8. ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(流通・小売業)
マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東、スーパーマーケット3ブランドを展開。 新店開発における課題に対し、積極的に人流分析ツールを活用することで解決を図りました。
活用事例9. NTT都市開発株式会社×NTTアーバンバリューサポート×NTTアーバンソリューションズ総合研究所(不動産業)
2023年3月、旧広島市民球場跡地イベント広場 は「ひろしまゲートパーク」に生まれ変わりました。 行政と連携しながらまちづくりをする取組に、Datawise Area Marketer をご活用いただきました。
活用事例10. タリーズコーヒージャパン株式会社(小売・飲食業)
全国各地に780を超える店舗を展開し、年間で40件の新規出店を目指す。 コロナ禍の数ある逆境を乗り越え、人流分析ツールでの分析を、新規出店の必須手段としてご利用いただいています。
※事例は随時更新させていただきます。
まとめ
人流データは、携帯電話基地局、スマートフォンのGPS(人工衛星)、Wi-Fi、ビーコン(Bluetooth Low Energy)、街頭カメラなどなどを活用して取得され、人の移動や滞在状況を把握するために活用されます。このデータを分析することで、混雑の予測、最適な店舗立地の選定、観光客の動向把握、防災対策の強化など、さまざまな分野で役立てることが可能です。特に、新型コロナウイルスの影響を受けて、人流の可視化が注目され、公共政策やマーケティング分野でも広く活用が進んでいます。
今後、AIやビッグデータ技術の発展により、より高度な分析や予測が可能になり、ビジネスや社会課題の解決にさらに貢献することが期待されます。